雑記・サンタどん(演劇ユニット大根at高知・蛸蔵)感想からのすがの公とハムプロジェクトについて考えたこと+愛大卒業公演観劇メモ 2019.12.30
更新日:2020年3月21日
この12月に見たお芝居について、考えたことを記します。
久しぶりに長い文章を書きました。時々は、こうしたものも書いていきたいと思います。
高知へ「演劇ユニット大根」による「サンタどん」を観に行ってきました。たくさんの四国(や広島など)の役者やスタッフがこの上演のために集まっていて、素直で気持ちのいい空間と場所を作っていました。
ここ数年、四国の演劇は「県・市」中心の動きから「四国全体」を見据える動きへと変わり始めていて、勢いのある集団の公演や企画には四国中から演劇関係者が観劇に訪れます。
これ、数年前にはなかったことで、なかなか面白い動きだと思うんですよね。
この何年か、四国各地で先頭を切って走ってきたいくつかの集団の緩やかな連携が(今のところは「観る」を中心の動きではありますが)形を成し始めているのが、とても面白いし興味深いと思っています。もともと四国全部合わせても人口が少ない訳ですから、大きく集客できた方がよい、というのは一つの正解だと思いますしね。外向きに何かを示す場合にも、マスとしての価値が上がる。ああえっと、この話はまた別で(笑)。
「サンタどん」の中打ち上げ(Unit out 技術部の田坂涼が照明に入っていたこともあって呼んでいただきました)で「憧れの作品がやれて嬉しい」と演出の曽田さんが仰っていて、自分の「好き」に周囲を巻き込んで真っ直ぐトライするのがまずすごいし、そのピュアネスみたいなものが、ちゃんと届いてくる仕上がりだったと思います。参加されたお一人お一人も、この作品の磁場みたいなものを大事になさっていて。そういうことも含めて、やっぱりこの脚本はいい。
ここからは、ハムさんの話になります。
ハムプロの作品を、他の団体がやって成立するのか、実は心配していたのですが、この脚本はそんなやわな作りではなかったです。色んな状況を飲み込んで、それすら込みで成立するように書かれている。ふわふわしたファンタジーに見えて、現実と想像力のせめぎ合いが残酷なまでにリアルなきちんとした会話劇。
すがの公、ハムさんの作品のすごいところは作品や作者と、観客の心の距離が近い、というのがあります。
「私、この子のことよくわかる」「私が一番この作家のことがわかってる」って一対一の感覚で思わせてしまう力がある。生々しいんですね、孤独が。こういうタイプの作家はたまにいて(忌野清志郎とか)、そしてそれってものすごい個性・才能だと思うんです。人を変え得るし、人を支えるから。戯曲賞は取らないかもしれないけど、世界中の、誰かにとっての「特別」になり得る作品。
「サンタどん」のラスト、想像力が現実を超えていく瞬間が一瞬だけ描かれる、あの、特別な、秘密の宝物のようなシーン、あれが、私たち作り手がよすがとする想像力の、芸術の本質、というか、在る意味なんだろうな・・と、しんとさみしく思いました。
ほんの一瞬だけど、永遠がふるえている。毎年訪れるサンタの物語のような。
翌日、愛大の卒業公演「今度は愛妻家」を見ました。こちらもクリスマスの話で、死と過ぎた日々と過ぎてゆく日々のお話を丁寧に優しく、細かい拘りを持って作っていて、良作品でした。卒業公演ということもあり、思わずうるっときたり。
ふと「サンタどん」は学生が演じるのっていいかもしれないなー、なんて思いました。時期もクリスマスでピッタリだし。どこかやってくれないかな。
そうしてね、あの「つづく」が続いていくのが・・・「つづく」。
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