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  • 執筆者の写真Tamai Erika

『ツイノスミカ』稽古場より1【白戸七海】 今作品について、「終の住処」について、座組について、ほかなんでも  

更新日:2019年5月20日


『ツイノスミカと「斜陽」とFarewell,My m.c』

白戸七海




 今回の作品を演じるにあたって、玉井さんから余裕があれば太宰治の『斜陽』を読むように、と言われました。今公演のサブタイトル「Farewell,My m.c」の「m.c」の部分が『斜陽』から引用(?)したもので、作品の中にもそのエッセンスが含まれているからです。


 私は読書自体は好きなのですが、近代のいわゆる“文豪”と呼ばれる作家の作品はなんとなく敬遠しておりほとんど触れたことがありませんでした。参ったなぁ…と思いつつ、重要なシーンに関係しているとわかっていたので腹を括って文庫版を購入し、表紙を開きました(作品自体の感想はTwitterに書いたので割愛させていただきます)。


 『斜陽』の主人公・かず子はしなやかでしたたかで品のある「革命家」でした。そして私が演じる美幸は、かず子ほどの強さをまだ手にしてはいないけれど、その片鱗がうかがえる女性です。かず子と美幸の「m.c」への想いの強さはリンクして私が知らなかった感情を引きずり出し、共演する立木さんや熊川くんがその高ぶった感情を容赦なく揺さぶってきます。先日の初通しでは涙がこぼれないようにするのに精一杯でした。本番は情感だけの芝居にならないよう、私自身もまた強く在らねば、と思っています。


 …真面目に書こうと思ったらなんだか読書感想文みたいになってしまいました。こういうの書くの苦手なので締めの言葉もうまく思いつきません(笑)ぜひぜひ観に来てください!〆!



・・・・・・・・・


『こらえる』ということ

玉井江吏香


 今まで作品中大体「やらかし系」を演じてくれていた白戸ですが、今回は、いや今回もやらかしてはいるんですけれど(そもそも私の書く女性はほぼなにか「やらかす」ひとなので・笑)、今作では「やらかし」をあっけらかんと外へアピールしない、「隠す」「堪える」方へ振れた人を演じてもらっています。

 私は、色っぽさ、というのはある種「我慢」から生まれると思っているのですが、堪えていたものがあふれる瞬間の彼女は、なかなかに色っぽいのではないかと思います。

 堪えることは耐えることとは違う、そんなこともふと。お楽しみに。


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